何気なく行っている習慣が口や歯並びの発育に悪影響となっている場合があります。そうした悪影響を取り除くことにより、より良い発育を目指していきます。
指しゃぶり
指しゃぶりは2歳までは生理的行為ですが、2歳半を過ぎても指しゃぶりが続くと、歯列や顎骨などに悪影響が出ることがあります。
起こりうる形態的問題
- 開咬
- 正中のずれ
介入方法
2歳半を目安に徐々に指しゃぶりをやめれるように生活指導していきます。
指しゃぶりは不安や緊張を和らげ、精神的な安定につながるといわれているので、急にやめるのはよくありません。少しずつゆっくりと見守ることが大事です。
指しゃぶりがやめられると歯列は急速に改善しますが、指しゃぶりでできた歯と歯の間に、舌を入れてしまうと、開咬という上と下の歯が合わさらない症状が起こるため、指導や訓練を行いながら経過を見る必要があります。
口呼吸(おくちぽかん)、口唇閉鎖不全症
口呼吸があると、気道を確保するために舌は必ず低位になります。
呼吸のために口を常に開けていることから口唇閉鎖不全となります。
また、お口の周りの筋力が低下します。
原因
アレルギー性鼻炎やアデノイド、口蓋扁桃肥大などの鼻閉があげられます。
口蓋扁桃肥大:4~8歳で肥大し、12~13歳で萎縮するといわれています。口呼吸などで細菌やウイルスが侵入を繰り返すと次第に慢性化することがあります。
起こりうる形態の問題
- 開咬
- 上顎歯列の幅が狭い
介入方法
完全に鼻閉があるようなら耳鼻咽喉科に受診を促します。少しでも鼻が通るようであればまずは鼻をつかう練習をしていきます。
異常嚥下癖
正常な嚥下は舌尖部を上顎前歯部の裏の歯茎に押し付けながら嚥下を行います。 異常嚥下癖とは上下の歯の間に、押し付けて行われます。
起こりうる形態の問題
- 開咬
介入方法
正しい舌の位置を覚え、正しい飲み込みの仕方を覚えるように訓練していきます。
咬合力が強すぎる、弱すぎる
咬合力が強すぎたり、弱すぎたりすると、かみ合わせが深くなったり浅くなったりします。
介入方法
咬合力が弱い方にはガムによるトレーニングなど、噛む力を鍛えていきます。
咬唇癖
主に下唇を前歯の裏に挟み込むような癖がある方がいます。挟み込まれた下口唇が上顎前歯部を唇側に押すため、上顎の前歯が前に出ていきます。
介入方法
咬唇癖がなくなりように訓練や働きかけを行っていきます。同時に口唇閉鎖不全症を併発することも多いため、口唇閉鎖力のトレーニングを行っていきます。
頬杖、うつぶせ寝、横寝
頬杖や寝方によっては、顎に横の力がかかり、正中がずれることがあります。 そうならないように生活指導が必要になります。
口の中のその他の問題点
舌小帯強直症
舌小帯が強直していると、舌の動きが制限されて、舌を上に持ち上げることができないため、低位舌の原因となります。舌の動きが制限されているため、舌の動きが悪い症例が多いです。
起こりうる機能の問題
- 異常嚥下癖
- 構音障害
- 舌の動きが悪くなる
介入方法
舌が伸びにくいと判断した場合、舌を伸ばす機能訓練を行います。
舌の付着位置の関係で、舌が伸びないと判断した場合は、積極的に舌小帯切除を行っていきます。切除術後も瘢痕抑制のためにしっかりと機能訓練を行い拘縮を抑制していきます。
切除術後
上唇小帯異常
上唇小帯異常があると、上顎の前歯の正中離開の原因となります。
介入方法
犬歯が萌出しても上唇小帯の影響で前歯が離開された状態であれば、上唇小帯切除を検討します。
鼻閉
鼻閉があると口呼吸をせざるをえないため、空気の通り道を確保するために舌が低位になります。低位舌は口腔機能にさまざな悪影響を与えるために、鼻閉がある場合は改善が必須となります。
起こりうる形態の問題
鼻閉の場合、高口蓋で鼻腔が狭く、舌が低位になっているため、上顎の成長が促されづらいです。上記のイラストのように、口元が突出したようなアデノイド顔貌になる場合があります。
介入方法
少しでも鼻が通る場合は、鼻呼吸トレーニングを行ったり、歯列を広げるようなアプローチをすることがあります。鼻が通らない場合は耳鼻咽喉科との連携が必要です。
先天欠如
大人の歯である永久歯が先天的にない場合、歯列に上下差、左右差がでてしまうことがあります。
起こりうる形態の問題
歯の先天欠損は、左右差がおこり、正中のずれを起こすことがあります。