歯科技工士雇用の難しさを実感しました
院内歯科技工士がやめてしまって困っていたら、
40過ぎの歯科技工士が当医院に就職の面接にやってきた。
話を聞くと以前技工所を経営していたがうまくいかず、
しばらく別の職業に就いていたとのこと。
しかし技工の仕事のおもしろさが忘れられず、
ぜひもう一度挑戦したいとのこと。
とにかく条件などいいから働かせて欲しいという。
ゆくゆくはまた技工所を再開したい希望もあるようだ。
1時間ほどの間、自分がいかに技工が大好きなのか、
その情熱、真剣な思いを熱く私達に語ってくれました。
近頃こんなに雄弁に語る人も少ない。
私も熱意に負け、とりあえずトライアルで3ヶ月、
鈴木歯科医院で仕事をしてもらうことにしました。
まじめで信用出来そうな人なので、
就業時間、条件はすべて本人の希望のとうりにした。
さて実際に仕事をしてもらうことになったら、
5年のブランクはやはり大きかった。
1日、2日、技工物が一つも出来ない。
3日たってやっとクラウンが一個出来たがこれが充分ではない。
残念だが患者様の口に入れることは出来なかった。
本人は、一生懸命やるといっている。
そこで特別に前任者の歯科技工士に頼み込んで、
半日指導に来てもらった。
それでも出来ない。機械の調子が悪いのではという話も出る。
4日目の朝、突然本人から電話がかかってきて今日遅刻すること、
そして急だが今日でやめると言ってきた。
医院にきてから、直接本人に、話をしてみた。
今日やめてしまって自分自身納得がいきますか、
何か心に引っかかることはありませんかと聞いてみた。
即座に本人は、自分は充分納得いった、
何も心にひっかかることはないと答えた。
・・・・・・それ以上は私は何も聞きませんでした。
そのときの私の心の声「そうなんだよね。
最近の若者は口ばっかりで、
自分の思うとうりにならないとすぐに仕事を辞めちゃうんだよね。
まわりの迷惑考えることが出来ないんだよね。
でもあなたもう40超えてるんだよね。大丈夫ですか。
うちの医院に勤めたいと、熱意を語ったのあなたですよ。
でも今はこういう時代なんですね」
別に頑張らなくても生きていける時代です。
今後の健闘をお祈りします。
しかし期待した分だけ、ちょっと損をした気分になりました。
きちんとさよならの挨拶もしないで、歯科技工士は医院を辞めていきました。